
vol.23 富士フイルム 【X-T10】
いつでも持ち歩きたくなるカメラの魅力を感じる存在感

愛好家の心をくすぐるメカニカルなデザイン
カメラ愛好家には、撮影はもちろん、カメラを眺めたり手にしているだけで満たされる人も多い。富士フイルムX―T10は、そんな魅力を持つ。いかにもカメラらしいクラシカルなフォルム、天面に並ぶアルミ削り出しのダイヤル……。フィルムからデジタルになっても、カメラの魅力を再認識させてくれる。
前面と背面には膨らみがあり、しっかりと握れる。指を伸ばせばコマンドダイヤルに届き、露出などの調整ができる。鉄道写真では大切な要素であるシャッタースピードは、天面のダイヤルで選択可能。1/4000秒まで設定されていて、動きの速い列車でも捕捉できる。
レンズバリエーションも豊富だ。ズームレンズは超広角から高倍率、望遠まで用意されているが、それ以上に魅力的なのは単焦点のラインナップ。14、16、18、23、27、35 、56、60、90㎜が用意されていて、目的に応じて選択できる(APS―Cサイズのセンサーを持つので、35㎜相当の焦点距離はレンズの1・5倍)。
X―T10は本体のみならずレンズもコンパクト。レンズの厚さが薄いパンケーキレンの27㎜をカメラに装着し、そのほかに何本か単焦点レンズをカバンに入れて旅に出たくなる……。そんなカメラだ。
狙った被写体は逃がさない大幅に向上したAF性能
ミラーレス一眼レフは、コンパクトさや利便性の高さは評価されつつも、液晶式ファインダーのタイムラグやオートフォーカス(AF)のスピードから、鉄道写真愛好家には二の足を踏む人が多かった。
X―T10では、新しいAFシステムの採用により、動体被写体の撮影性能が大幅に向上した。具体的には、従来の49点で被写体を捕捉する「シングルポイント」に加え、77点の広いエリアで捉える「ゾーン」「ワイド/トラッキング」の2つのフォーカスエリアが追加され、対応の幅が広がったのだ。
このうち「トラッキング」では、フォーカスエリアで捉えた被写体を77点の全エリアで追尾し続ける。列車を一度捕捉したら、しっかりと捉え続ける。
しかも連写速度は速く、ミドルクラスのデジタル一眼レフ並の秒間8コマの撮影が可能。被写体が動く鉄道写真にピッタリの高性能は、旅の相棒だけではもったいないほど。撮りたい時に撮りたい物が自由に撮れるカメラだ。
富士フイルム X-T10
有効画素数 | 1630 万画素 |
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撮影感度 | ISO200 ~ 6400 |
レンズマウント | FUJIFILM X マウント |
外形寸法 | 幅118.4mm ×奥行き40.8mm ×高さ82.8mm |
質量 | 約381g(付属バッテリー、メモリーカード含む) |
参考価格 | 88,000 円(ボディのみ) |