羽越本線

運行路線を大半が日本海に面しており、日本海の荒々しい海を十分に堪能できる路線である。新津と秋田を結ぶ路線で、旧国名である出羽国と越国にまたがることからその名がついた。この路線をなぞるようにかつて通っていたのが羽州浜街道で、街道沿いの古い宿場や日本海沿岸の港の集落など日本海だけでなく、沿線の町並みにも見所がある。

羽越本線の最大の見せ場は、桑川以降の「笹川流れ」の景観とともに始まる。日本海の大波が岩礁群に打ちつけ、いかにも日本海らしい姿を見せてくれる。奥州三大関所である鼠ヶ関は、越国と出羽国の国境にあった古代関所跡である。続く庄内に位置する鶴岡と酒田はどちらも歴史ある町で、鶴岡は武士の町、酒田は商人の町として栄えた。途中下車して旧家の並ぶ町を散策するのもいいかもしれない。遊佐までやってくると鳥海山が見えてくる。東北を代表する秀峰で、秋田富士とも出羽富士とも呼ばれている。ここから望む鳥海山は庄内平野を背景にしてコニーデ型(円錐柄)がとても美しい。

運行しているキハ40形は、JR新潟が独自の塗装を施した通称新潟色と言われる白と赤にツートーンカラーである。「いなほ」は、上越新幹線の開業にともない、新潟~秋田間を走る地方特急に格下げされてしまったが、その姿はクリーム色の485系を彷彿とさせる。

開業年: 1924(大正13)年
営業キロ: 271.7km
所要時間: 約5時間30分(直通列車の設定なし)
動力方式: 電気
運行車両: 115系、E127系、701系、キハ40系、キハ110系、キハE120形
営業本数: 普通列車12往復(区間列車含む)
主な観光スポット: 月岡温泉(月岡駅からバス約10分)、
笹川流れ遊覧船(桑川駅から徒歩約8分)、
念珠の松庭園(鼠ヶ関駅から徒歩約10分)、
温海温泉(あつみ温泉駅からバス約7分)、
土門拳記念館(酒田駅からバス約16分)