中央西線

中央本線は東京~名古屋間を甲州街道、中山道に沿って山梨、長野、岐阜の3県を通過する一大幹線だが、一般に東京~塩尻間を中央東線、塩尻~名古屋間を中央西線と呼ばれている。中央西線は塩尻~名古屋の174.8kmを結ぶ約2時間30分の路線。勾配を上下しながら街道沿いに広がる宿場町を通り、木曽山脈(中央アルプス)を望みながら名古屋へと至る。

宿場町らしい造り奈良井駅

塩尻を出発すると、葡萄棚の広がる田園風景を進む。やがて急勾配区間に入りと線路と贄川(にえかわ)と国道119号の3つの流れが並行する。塩尻から5つ目の駅、奈良井は“奈良井千軒”と呼ばれるほどの大宿場町で、難所である鳥居峠が近いことからここ奈良井宿で宿をとる旅人が多かった。古くから旅籠(はたご)や酒造などが軒を連ねる町並は約1kmに渡り、国伝統的建造物保存地区に選定されている。古社寺をはじめ、名産の木曽漆器、漬物、おやきなどがあり、ぶらり町歩きが楽しいところだ。

情緒ある古い町並みが続く

奈良井~薮原間にある鳥居トンネル(1197m)はかつての難所鳥居峠を抜け、反対側の宿場町、薮原宿へと至る。薮原駅は1910(明治43)年に作られた駅で当時の木造駅舎が今も残されている。街道を沿うように木曽川が流れ、こちらの町並も観光エリアとして人気がある。2つの宿場町を結ぶ約6km、標高1197mの鳥居峠越えの古道はトレッキングコースとして現代の旅人にも愛されている。

街道に沿うように流れる木曽川

木曽谷の中心部、木曽福島を抜けると上松、倉本と続く。木曽川の激流が岩肌を削り、方状節理の奇岩が連なる「寝覚めの床」と呼ばれる景勝地である。この辺りから中央アルプスの最高峰、木曽駒ケ岳(標高2956m)を望むことができる。ここでは進行方向左側の車窓に注目したい。やがて中山道の宿場町の拠点の南木曽に到着する。中津川から以南、名古屋までは運行本数が一段と増え、名古屋の通勤圏に入っていく。車窓は様変わりし、名古屋へと至る。

開業年: 1919(大正8)年
営業キロ: 1748km
所要時間: 約2時間30分(直結列車の設定なし)
動力方式: 電気
運行車両: 115系、211系、213系、311系、313系
営業本数: 普通列車下り22本、上り24本
主な観光スポット: 贄川関所、
木曽考古館(贄川駅から徒歩約10分)、
木曽陶器館(木曽平沢駅から徒歩約10分)、
上問屋資料館(奈良井駅から徒歩約5分)、
馬籠宿(中津川駅からバス約25分)、
定光寺(定光寺駅から約15分)、
徳川美術館(大曽根駅から約10分)