乗り鉄道具学

vol.14 Coleman 【Portable Easy Warmer】

冬の屋外行動をサポートし、身も心も温まるウォーマーを紹介しよう。

ウォーマーは防寒グッズの真打ち

 寒風にさらされるローカル線のプラットホーム、驀進するSLを待つ雪原の撮影スポット……。こうした厳しい環境の中ではどんなに重ね着をしても、風が容赦なく体温を奪っていく。体を温める方法は運動、熱いドリンク、強いスピリッツしかないが、これらは一時的に体温を高める〝対処療法〟にすぎない。
 真冬の鉄道旅を快適にするために何かいい道具はないか? こう考えるうち、懐かしい「白金カイロ」(これは商標)の存在を思い出した。お年寄りが腹巻きの中に入れている、あの銀色の箱である。最初は効果があるのか疑問だったが、調べてみると、なかなか優れものであることがわかった。今風にいうとウォーマー。デザインもなかなか洒落ている。
「安い使い捨てカイロで十分」という方がいるかもしれない。確かに使い捨てカイロは1個40円程度で、扱いも簡単だが、最長でも10時間しか発熱しない。温度も50度前後と低い。対するウォーマーは、セットすると70度近い温度が最長24時間も持続する。使用する燃料は1回わずか数十ml ですみ、本体価格も数千円。繰り返して使えるので、1回当たりのランニングコストは、使い捨てカイロのの半分以下となる。
 元祖の白金カイロをはじめウォーマー製品はたくさん発売されているが、ここではアウトドアメーカーの大手、コールマン社の「ポータブル・イージー・ウォーマー」ほかをインプレッション。

熱量は使い捨ての十数倍

 ウォーマーの元祖といえる白金カイロは100 年ほど前の大正末期に的場仁一なる日本人が発明した(現在のハクキンカイロ株式会社の始祖)。原理はタンク内の燃料を気化させ、プラチナ(白金)と触媒反応させて酸化熱を放出する仕組み。燃料がベンジンの場合の熱量は、使い捨てカイロの数十倍にもなる。スターターとして電池によるニクロム線過熱が必要だが、そんなに手間はかからない。このプラチナ触媒反応は「ゆるやかな燃焼」といわれ、燃料は二酸化炭素と水に分解される。窒素酸化物などの有害物質が発生しないクリーンなウォーマーで、使い捨てカイロのようにゴミも出ない。発熱源は、ガラス繊維にプ
ラチナ粉をコーティングしたシート。通常70 〜100 回程度の使用に耐え、シートは交換することができる。
 ここで紹介したコールマン社のポータブル・イージー・ウォーマーは秀逸。矩形形状の白金カイロが多い中、真円状のデザインなので、ポケットに入れても、アンダーに挟んでもしっくりと馴染む。フリースのポーチはポケットに入れたときに動きにくい。これがさらに携行性を高めている。
 デザインで選ぶと、ZIPPO 社の製品も捨てがたい。これは男っぽい印籠タイプ。発熱原理ははコールマン社と変わらないが、燃料にジッポオイルを使用する。オイルとセットになったスターティングキットもある。こうした白金カイロの燃料は各社の専用燃料がある。他社燃料も使えないことはないが、燃焼効率や本体への負担を考えると、専用を利用した方がいい。

Zippo ハンディ・ウォーマー

サイズ 縦100mm ×横68mm ×厚さ15mm
重量 約70g
材質 真鍮
発熱時間 最大24 時間(燃料40ml)
熱原理 ジッポーオイルの酸化発熱
価格 4200 円(オイルセット)

November 2020

2020年11月

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