第4回 東北の保存鉄道に乗ろう!

グルン、グルン、ボボッ、ボボッー。エンジンの回転が高まると、車両の中央から白い排煙が勢いよくはき出された。すると、小さなレールバスが咳き込むように走り出す。走行距離はわずかだが、涼やかな風が吹き抜ける軌道は気持ちいい。東北に来て良かった──。

 昨年、旧七戸駅構内(青森県七戸市)で、動態保存されている南部縦貫鉄道(1997(平成9)年廃止)のレールバス・キハ101に乗った。全長10m、重量はわずか9.6t。車齢50年を越える気動車は、現役時代に撮り鉄たちの熱い視線を浴びていたレトロ車両だ。現在、保存会の手で動態保存されており、毎年、ゴールデンウィーク中の数日間、体験乗車会が開催されている(今年は修理のため、撮影会のみ開催)。

 動態保存鉄道というと、真っ先に大井川鐵道や梅小路蒸気機関車館、赤沢森林鉄道などが思い浮かぶが、どうしてどうして東北地方の保存鉄道は熱く、鉄分も濃い。この南部縦貫鉄道以外に、本州最北端の駅だった下北交通大畑線(2001(平成13)年廃止)の旧大畑駅(青森県むつ市)でも、懐かしいキハ22が国鉄色に塗られて動態保存されている(運行は5〜10月まで月1回)。また、旧若柳駅(宮城県栗原市)でも、「くりでん」の愛称で親しまれたくりはら田園鉄道(2007(平成19)年廃止)のKD10形レールバスが500mの軌道をトコトコ走る(月1回のペースで体験乗車を実施)。

 ほかにも山形県真室川町の森林鉄道トロッコ列車、山形県川北町の軽便蒸気機関車「いもこ列車」などの動態保存鉄道があり、宮城県大崎市には、近代化産業遺産に認定された松本人車軌道も、秋期限定で運行されている。今年はこれらの動態保存鉄道を巡る旅に出かけよう。(町田てつ)

December 2024

2024年12月

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