第1回 旅のプロもやられた!ローマのスリにご用心
「全シルクロード街道」――、ローマから奈良への取材の初日だった。東京からローマへ飛び、ヴァチカン市国、アッピア街道などの撮影を終え、翌日のナポリへの列車の指定券を購入し、充実した1日の終わりを迎えていた。
ローマの玄関口の中央駅、テルミニに近い路上のことだ。人混みの中で、ポケットがふと気になった。瞬間のことである。気がつくと財布がない!まさか!
スリにやられた!
駅前のJTBで支払ったばかりだった。店から300mも歩いていない。呆然として訳が分からなかった。いきなり理由もなく路上で刺された気分である。
その夜、ローマ在住17年という通訳の村瀬仁美さんとカメラマンの堀瑞穂さんと三人で食事をした。そこで「ローマでは最近スリが横行している」との話を聞いた。世界的な不況のなかで、東欧や南米から出稼ぎの男たちが多く集まっている。中には置き引きやスリでやむなく暮らしている男たちもいるようだ。最近はペルー人の“天才的”、“芸術的”スリが話題になっており、まったく人に気付かせないという。ローマ在住の村瀬さんでさえ、片手で携帯電話している一瞬の間に、一方の腕から時計とブレスレットを抜き取られた、という被害者の一人だった。
というわけで、旅の最初の報告から情ない話になってしまった。思い出せば、ローマでは大の男が首からポシェットを吊して、街を歩いている。少年兵のように肩から十字にバッグを下げている女性も多い。ポケットは一番狙われるのである。
そこで、反省!
1、日本人は狙われていることを自覚すること!
2、駅構内、駅前は危険ゾーンだから要注意!
3、持ち物は一つにまとめ、目から離さない!
というわけで、さっそく「首吊し袋」を購入し、ローマ人に習ったのである。
「郷に入っては、郷に従え!(when in Rome, do as the Romans do!)」
これローマのコトワザじゃなかったかしらん?
(取材日/2009年7月16日)
旅を振り返って / 2011年9月21日
財布には現金は多く入っていなかったが、カードが入っていた。すかさず問い合わせると、「明朝、ローマ支店で再発行します」とのこと。こんな芸当ができるのはAMEXだったからだろう。ちなみに他のカードは使用停止できたが、再発行は帰国してからしかできない。翌朝、10時にスペイン広場に面したAMEXのローマ支店にゆくと、ピンピンの新カードが用意されていた。海外旅行のカードはAMEXに限るかもしれないぞ!?