第5回 北越
北陸地方の都市間輸送に従事する「北越」は「いなほ」と同時期の1969(昭和44)年10月に登場。今日にいたるまで一貫して国鉄形特急車両の485系を使用している。「北越」は大阪~新潟間の臨時列車としてスタートし、輸送体系の変化によって列車本数の増減を繰り返してきた。
1978(昭和53)年10月には大阪発着は「雷鳥」に統合されて、当時3往復だった「北越」は金沢~新潟間の1往復のみとなってしまう。1982(昭和57)年11月の上越新幹線開業にともなって、新幹線連絡特急の使命を帯びるようになり、5往復にまで成長すると、1988(昭和63)年3月からは「北越」の速達版として、金沢~長岡間に「かがやき」が設定され、上野~金沢間の所要時間は大幅に短縮された。1997(平成9)年3月に北越急行が開業し、「はくたか」が運転を開始すると、「かがやき」は全廃され、「北越」も2往復に減便。しかし、2001(平成13)年には大阪~新潟間の「雷鳥」2往復と大阪~青森間の「白鳥」が廃止され、「北越」は再び5往復体制となった。また、2004(平成16)年の新潟県中越地震、2007(平成19)年の新潟県中越沖地震では長期の運休を余儀なくされるなど、まさに数奇な運命の列車である。
JR東日本とJR西日本にまたがって運行される「北越」は新潟~酒田・秋田間の「いなほ」と共通運用を組み、新潟車両センター配置の485系が充当される。かつては広範囲で運用された485系であるが、定期特急運用は「北越」と「いなほ」のほかに新青森~函館間の「白鳥」を残すのみとなった。485系の原形車体を保つ1000番代はアイボリーをベースにライトグリーンとブルーの帯を巻いたカラーリングが基本だが、オリジナルの国鉄色に復元された車両も在籍する。車内外ともにリニューアル改造された3000番代は6両編成のほかに増結ユニットが用意され、多客期には8両編成での運行も可能である。
「北越」は都市間輸送列車だけに停車駅が多いのが特徴で、「サンダーバード」や「しらさぎ」、「はくたか」を補完する役目も果たす。そんな「北越」の車窓のハイライトはやはり立山連峰と日本海であろう。富山から魚津付近では立山連峰のきれいな山並みが望める。北陸本線は日本海沿岸を進むものの長大トンネルが連続し、そのため信越本線に入った柿崎から柏崎までが日本海を眺める絶好のスポットとなる。この絶景区間を楽しめるのは「北越」だけの特権だ。
車両形式: | 485系 |
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運転区間: | 金沢~新潟 |
走行距離(営業キロ): | 313.5km |
最高運転速度: | 120km/h |
営業運転開始日: | 1969年10月1日 |
所有会社: | JR東日本新潟車両センター |