旅と鉄道

鉄道の車窓には、人々の暮らしや、季節の風と匂いが流れてゆく。地元人や郷土食などの地域社会との触れ合いや、移りゆく風景との対話など……。鉄道には“発見”や“出会い”が溢れている。ここでは、そんな旅を実現させてくれる、日本全国の鉄道路線を紹介する。

DE10形牽引の「トロッコわたらせ渓谷号」。

わたらせ渓谷鐵道

圧巻の渓谷美 いちばん人気のトロッコ列車

春の里山を走る89-310形普通列車。2009年、開業20周年のヘッドマークを掲げている

わたらせ渓谷鐵道は、1914(大正3)年に足尾鉄道として開通。炭鉱鉄道としてスタートを切った。最盛期の銅産出量は日本の鉱山資源の4割をもまかなっていた。その後、1973(昭和48)年、足尾銅山は閉山され、JR東日本にJR足尾線として引き継がれたが、1989年(平成元)年には第三セクターとしてわたらせ渓谷鐵道が開業した。

DE10-1537のトロッコ列車。わ鐵の茶色主体のカラーリングで統一されている

桐生~間藤をつなぐ全長44.1kmの路線で、見どころは何といっても渡良瀬川の渓谷美が堪能できることだ。中でも沢入~原向にかけてのおよそ5kmの区間が素晴らしい。河原には白い御影石が点在し、清流とのコントラストが美しい。また、駅舎やホームなど38の沿線にある旧跡・史跡が登録有形文化財に指定され、古き良き鉄道時代の情景を味わうことができる。神戸駅は1912(大正元)年建造のわたらせ渓谷鐵道最古の木造駅舎で、構内には東武鉄道のモハ1724、モハ1725を利用した『列車のレストラン清流』も営業している。水沼駅には温泉センターがあり、「一日フリーきっぷ」を提示すれば入浴料の割引特典がある。

1912年建築の上神梅駅駅舎。昭和初期の木造駅舎で、2008年7月にプラットホームとともに国の登録有形文化財に指定されている

この路線で忘れてはならないのが、トロッコ列車「わたらせ渓谷号」。行楽シーズンに大間々~足尾間を約2時間かけて運行する観光列車だ。2両の座席車にオープンエアのトロッコ車両2両がつき、それをDE10形ディーゼル機関車が牽引する。車両はJR東日本から購入した12系客車と元京王電鉄の5000系電車を改造して使用している。
2009(平成21)年、わたらせ渓谷鐵道は第三セクター鉄道に転換してから20周年を迎えた。現在でも終点の間藤からは精錬所のある足尾本山駅まで伸びる貨物線が残されている。

開業年: 1989(平成元)年
営業キロ: 44.1km
所要時間: 1時間30~40分(桐生駅~間藤駅)
動力方式: 内燃
運行車両: わ89形、わ99形、WKT-501形、DE10形ディーゼル機関車
営業本数: 21本(桐生駅~間藤駅)、
14本(桐生駅~大間々駅)、
ほか区間列車とトロッコ列車あり
主な観光スポット: みどり市大間々博物館(大間々駅から徒歩約5分)、
富弘美術館(神戸駅からバス10~20分)、
足尾銅山観光(通洞駅から徒歩約5分)、
古河掛水倶楽部(足尾駅から徒歩約2分)

写真提供:松尾諭

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November 2014

2014年11月

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