第3回 (ワイドビュー)しなの

 新幹線を除く在来線の昼行特急列車の最長距離(実走行距離)は444.1km(営業キロは441.2km)。この最長距離を走る特急列車が大阪発長野行きの「(ワイドビュー)しなの」16号である。これまでは新潟~青森間458.8kmの「いなほ」であったが、2010年12月4日のダイヤ改正で運行区間が短縮され、「(ワイドビュー)しなの」が最長距離列車となった。

錦秋に彩られた木曽谷を行く。紅葉の見ごろは例年11月中旬~下旬。(倉本~上松)

 「しなの」は名古屋~長野間の準急列車に付けられた愛称名であるが、1968年に特急列車に昇格し、特急形気動車のキハ181系を使用した。1973年に国内初の振子式特急電車である381系を導入し、カーブの多い中央本線でのスピードアップに貢献した。さらに1995年から現在活躍中の383系による営業運転を開始。2008年までは臨時列車に381系も使用されていたが、現在は大阪~長野間と名古屋~長野間の全列車が383系で運行されている。

ステンレスの車体を輝かせながらカーブを駆ける。長野方の先頭車にはパノラマタイプのグリーン車が用意される。(木曽平沢~贄川)

 383系は車体傾斜をコンピューターで制御する制御付き振子を採用し、自然振子式の381系に比べて乗り心地が大幅に改善された。名古屋~中津川間ではこの振子装置を作動させて運転を行う。先頭車両には貫通形(大阪・名古屋方)と非貫通形(長野方)があり、長野方は流線形フォルムをもつパノラマタイプのグリーン車である。前面展望を楽しむには下り列車の1号車1A~1Dを確保したいところだが、いずれの車両も眺望に優れた大型の連続窓のため、ワイドな眺め(ワイドビュー)が満喫できるだろう。

夕陽に照らされて大阪を目指す「(ワイドビュー)しなの16号」。背後には中央アルプスの秀峰・木曽駒ケ岳が見える。(大桑~野尻)

 通常は長野方に非貫通形グリーン車を組み込んだ6両編成を使用するが、増結用として長野方先頭車を貫通形グリーン車とした4両編成と貫通形普通車の2両編成があり、多客期には8両編成や10両編成で運転される。10両編成では現在の在来線特急では珍しい2両のグリーン車が組み込まれることもある。

 「(ワイドビュー)しなの」は日本三大車窓のひとつである善光寺平と千曲川を望む篠ノ井線の姨捨を通り、塩尻から先の中央本線区間では木曽路の谷間を縫うように走る。おすすめの車窓スポットとしては上松~倉本間の木曽川沿いに鎮座する名勝・寝覚の床や大桑付近から垣間見える中央アルプスなどがあげられる。

 

車両形式: 383系
運転区間: 大阪・名古屋~長野
走行距離: 441.2km(大阪~長野) 250.8km(名古屋~長野)
最高運転速度: 130km/h
営業運転開始日: 1968年10月1日:「しなの」運転開始 1996年12月1日:「(ワイドビュー)しなの」運転開始
所有会社: JR東海神領車両区

November 2020

2020年11月

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