第1回 カシオペア

黄昏の内浦湾(噴火湾)をたどる上り「カシオペア」。(室蘭本線洞爺~豊浦)

A寝台個室だけで構成されるもっとも贅沢な列車…、それが上野~札幌間を走る寝台特急「カシオペア」である。シルバーに輝くステンレス製のE26系客車を使用する。このE26系はJR時代になって製造された唯一の客車編成である。しかも、12両編成1本しか存在しないため、毎日運転ではなく、下りの上野発が火・金・日曜、上りの札幌発が月・水・土曜の週6日の運転だ。ただし、夏休みや年末年始といった多客期は隔日運転となるが、車両の検査や点検などで10月下旬から12月上旬には運休することもある。

編成は3号車がダイニングカー(食堂車)、12号車がラウンジカーとなっているほかはA寝台個室車両。個室は構造的に大きく6つのタイプに分けられる。展望室タイプのカシオペアスイートは1室しかなく、発売と同時に売り切れるプラチナチケットだ。車端部のソファーからは三面ガラスのワイドな車窓が堪能できる。1階が寝室、2階がリビングのメゾネットタイプのカシオペアスイートは1号車と2号車に合計6室ある。カシオペアスイートの寝台料金は同じとあって、展望室タイプに人気が集中しているようだ。

2号車に1室のみのカシオペアデラックスはソファーベッドを使えば3人部屋として利用することも可能。カイオペアツインは4~11号車に最も部屋数の多いスタンダードタイプと車端室タイプがあり、7~11号車にはエクストラベッド対応(3人利用)の部屋も設けられている。4号車には1室のみのカシオペアコンパートがある。車椅子対応のバリアフリー構造のため、車椅子を必要とする利用者とその同伴者に限られる。

那須連峰をバックにアップダウンのストレートを快走する。(東北本線矢板~片岡)

E26系客車には動力装置がないので、3種類の機関車が区間ごとに牽引する。上野~青森間は交直両用電気機関車のEF510が先頭に立つ。2010年7月に運用を開始したばかりの最新鋭機関車だ。津軽海峡線(青森~函館間)では交流電気機関車のED79にバトンタッチし、函館~札幌間では専用塗色をまとったDD51が重連で牽引している。

上り・下りともにおよそ17時間の「カシオペア」の旅路。一生に一度は乗ってみたい夢の寝台特急である。

車両形式: E26系
EF510(上野〜青森)、ED79(青森〜函館)、DD51(函館〜札幌)
運転区間: 上野〜札幌
走行距離: 1214.9km
最高速度: 110km/h
営業運転開始日: 1999年7月16日
所有会社: E26系(JR東日本尾久車両センター)
EF510(JR東日本田端運転所)
ED79(JR北海道函館運輸所青函派出所)
DD51(JR北海道函館運輸所)

November 2020

2020年11月

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